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ゴンノスケ

バンド論

最近はソロ、あるいはユニットのアーティストの活躍がめざましい。






ちょっと挙げるだけでも米津玄師を筆頭に、あいみょん、ヨルシカ、YOASOBI、Eve、ずっと真夜中でいいのに、秋山黄色、藤井風、神山羊、岡崎体育、amazarashiなど、枚挙にいとまがない。(『もっといる!』『あの人が入ってない!』等のご意見はご勘弁笑)


いまやユニット最盛期と言っても過言ではないだろう。

 

理由は明解で、DTMの他スマホやタブレットの作曲アプリ等が広く、かつ安く普及し、今では誰でも一人で本格的な制作が出来るようになったのが大きな要因の一つだ。


かつては本格的に楽曲を制作しようと思うならとにかくお金と手間が掛かった。スタジオに行き、楽器を演奏し録音し、ボーカルを録り、(しかも幾度となく録り直し)すべての録音が終わったらそのファイルを専門の知識を持つエンジニアにミックス、またマスタリングを依頼し、やっと完成。文字通りプロにしか出来ない事だった。


しかし今は違う。誰でも、簡単に楽曲制作を行う事が可能だ。仮に専門の知識がなくても、また楽器が弾けなくても問題ない。ソフトをダウンロードしてMIDIを打ち込む、あるいはサンプラーを使う等すれば、誰でもプロ並みの楽曲を作ることもできる。





加えてSNSが盛んになり、自分一人でも発信、また配信する等して一定のファンがつけば、立派にアーティストとしてデビューする事が出来る。バックアップする企業やプロデューサーも「フォロワーが○○人」という明確な数字が示せるのだから、自信を持ってプロデュース出来るという訳だ。こういった背景から、ソロ・ユニットが活躍する時代がまさに今到来している。と筆者は思っている。


 

では、バンドはどうか。

ひとりでもアーティストとして活動出来る現代において、バンドの存在意義とはなんだろう。


バンドとは、言ってしまえば共同プロジェクトだ。複数の人間がそれぞれ専門の楽器を担当し、アレンジを考え、最終的に一つの楽曲を作り上げる。もちろんバンドによってやり方は違うと思うが、おおよそこういった手法で作られていると思う。


ではそのメリットは何かと問われると、まず誰でも思いつくことはバンド内の化学反応だろう。複数の人間が制作に携わる事で、メンバーそれぞれの持ち味が溶け合い、一人だけでは作れないような魅力的な作品が生まれやすいという事が挙げられる。いわゆる三人寄れば文殊の知恵、というやつだ。


しかしこれは別にバンドだけのものではない


何故ならソロアーティストの場合もバックにアレンジャーやプロデューサーがついているのが当たり前で、バンドと全く同様、あるいはそれ以上の成果を生み出す事は多々ある。バンド固有の特性かと言われると、正直弱い


やはり、バンドとしての強みはもう存在しないのか。バンドは衰退していく運命なのか。


結論から先に言おう。バンドしかない強みは、確かにある。

 




※以下は、筆者の自論です。






それは、バンドには物語があるということだ。




バンドが結成するまでの話。

初めてのライブに挑む時の話。

バンドの音楽性、方向性の話。


レコーディング、MVの撮影の話。

メンバーの脱退、あるいは加入。


成功したライブ、失敗したライブ。

そしてメジャーデビュー…



バンドとは、もはや人生である。そしてそれは一人ではなく、メンバー全員の物語なのだ。そこには当然、バンド内の人間関係が存在する。


天才的な才能を持つ人、センスは無いけどたゆまぬ努力で技術を磨いた人、とにかく人間的な魅力があるリーダー格の人、いつも盛り上げてくれるムードメーカーの人、地味だけど陰でバンド全体を支えている人、本当は続けたかったのに特別な事情があり辞めざるを得なかった人。


葛藤、焦燥、嫉妬、不安、羨望、願望、絶望、希望。 メンバーの様々な感情が混ざり合いつつ、バンドはうねるように生きていく。

様々な人間が様々な事情を抱えながら、バンドという物語の中で生きていく。




それはもう、一つのドラマであり、ノンフィクションであり、人生そのものである。


ファンが聴きたいのは勿論バンドの楽曲であるが、ファンが見たいのはその物語なのだ。そしてあわよくば、バンドを応援する事でほんの少しその物語に関わりながら、彼らの人生をそばで見守りたいのだ。




バンドには、そういう魅力がある。筆者はそう思っている。

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